意味を覚えないタロット(1)大アルカナ22枚

タロットカードの意味が覚えられない?

タロットカードは大アルカナと呼ばれる22枚のカードと、小アルカナと呼ばれる56枚のカードにわかれています。
合計78枚…さらに正位置、逆位置…。そのすべてを複数のキーワードで記憶していくのは大変です。

大アルカナというものは、普遍的な人生観や、人間のありかたのような大きなテーマを示しているのですが、その表すものは抽象的で、絶対にこうだ!というものではありません。
大元の芯の部分の考え方は変わらないのですが、占う人、占われる人、周囲の人々、環境、状況によって意味合いに多様性が出てきます。

その時々により朝顔やアジサイの色が変わるように、またありがた~い太陽だって元気なときは良いけれど疲れていたり弱っているときは日差しがちょっとツラいように、同じものでもいつも同じにとらえられる訳ではないですからね…。

これをどうとでも取れると思うか、面白いと思うかは人それぞれですが、私はこのシンプルな絵柄に込められた宇宙や世界の不思議のようなものがとても魅力的に感じられます。
ですので、お勉強のように意味を記憶するのではなく、旅の写真を撮るように一枚一枚を楽しんでいくのがいいなと思っています。

タロット大アルカナカード22枚を見てみよう

とはいえ、基本的なイメージを把握しておくことは必要です。
一応、極力あっさりとざっくりと見ておきましょう。

愚者 THE FOOL

危なっかしい、だがそれがいい。
タロットカードの大アルカナは0:愚者が旅立ち、最後21:世界で1つの完成を見る、人生の縮図とも言われています。
小さな荷物は軽やかな心をあらわし、崖っぷちでも上を向いてゆく伸びやか。
見るからにハラハラしますね。
しかし、たまには考える前に歩き出すことも必要ではないでしょうか。
自由でとらわれのない前進力が可能性を開くのか、無鉄砲でふわふわした落ち着きのなさが可能性を閉じる事になるのか、それはこれからの自分次第なのです。

魔術師 THE MAGICIAN

全ての道具を揃え、右手は天を指し左手で地を指し、天上天下を意のままに操ろうとしています。それは我儘ではなく主体的な「自分」というものが初めて自覚出来たということです。
彼の生来の知性は天地をも結び、不可能を可能に変える力を備えていることを示しています。
それは人間界では卓越したコミュニケーション能力として発現し、独りでは出来ない事柄を社会の中で成し遂げることを意味していますが、この能力がどのように発揮されるかは未知数なのです。このカードが出たときには、自分というものに目を向けましょう。

女教皇 THE HIGH PRIESTESS

黒と白の柱の真ん中にいて、そのバランスを保つ賢明さを備え、手にはその拠り所となる書物を携えています。
どんなときも冷静に深い洞察力を巡らせ思慮にあふれた判断を下しますが、それが過剰になっても足らなくても、浅薄になったり慎重さがすぎたりと難しいものなのです。
洞察力と行動力が相反するものにならないバランス感覚が必要です。
このカードが出たときは、期待しながら何かを待つ…そんな状態か、そういったスタンスでいるように、と言った感じなのでしょう。

女帝 THE EMPRESS

これまた女性のキャラクターですが、女教皇が女性的な精神性を示すのならば、女帝は生物としての女性性を表しているように見えます。
マタニティドレスを纏い、おおらかな包容力と生み出す力を示しています。
母親は無償の愛を子に注ぎますが、それが行き過ぎても押し付けになってしまいます。
また、精神性だけで子どもを育ててもいけないのですが、あまりにも欲望のままでもいけないのです。もちろん母親というのは例えや象徴で文字通りの母親のみを表しているものではありません。占う事柄に対して所有や強欲に傾いてしまわないよう、そして揺るがぬ立場であることに甘んじてわがままにならぬよう…というメッセージも受け止めておきましょう。

皇帝 THE EMPEROR

男性性を示すカードです。
男性的な力強さ、勇気と闘争心を発揮して困難を乗り越え望むものを手に入れようとするでしょう。
皇帝の持つ統率力が良き働きをすれば、組織力がパワー最大になり大願を成就することが出来るでしょう。
しかし、わがままや自己中心的さが勝ち横暴に振る舞たり、逆に気弱な面をさらけ出せばすぐに玉座を追われることになるでしょう。
リーダーの孤独と責任…権力を持つことの光と影、そんなことをこのカードから感じます。

法王 THE HIEROPHANT

これも男性を表すカードですが、皇帝が男性的な腕力を示すとすれば、法王は精神的な拠り所的な存在を意味するでしょう。
この人が頷けば大丈夫、といった安心感をもたらす一家の長や村の長老的なイメージでしょうか
その属するコミュニティ、社会の規範におけるトップなのです。
よくすれば慈悲深い指導者、悪くするとモラルに欠けた俗っぽい権力者になって人をコントロールしようとする人物になってしまいます。
このカードが出たときは、誰かに物事を決めてもらいたいと思っていないか、誰か自分以外の何かに判断を委ねたいと思っていないか…は再確認しておいた方がよいですね。

恋人たち THE LOVERS

裸の男女が天使の祝福を受けています。単語で言えば愛と調和…そんな言葉でいいのでしょう。
男女の情は人間の根元的なエネルギーですから、ありのままで正しい、という意味でもよいでしょう。
しかし感覚的な楽しみにおぼれ誘惑や惰性に身を任せれば調和するものもできなくなる、そんなことを伝えているようです。つまり正しい姿とは何なのか…?は常に考えなければなりません。
よいカードではありますがこの絵にとらわれて、単なる恋愛成就であるとか男女の交わりの意味だけと考えると判断ができません。私たちが相手を選び決めるときに大切なことは何でしょうか?自分にとってゆずれないこととは何でしょうか?人生の選択においてそのことを思い出すように…というメッセージを受け取ってください。

戦車 THE CHARIOT

戦車を牽いている白と黒のスフィンクスは異なるもの、相反するものを示し、それを制御しながら戦車を操らねばならないことを意味しています。
葛藤を克服し目標に向かい邁進するのですが、よく見ると若者のベルトがうまく締まっていません。自信はなくとも走り出さねばならない…という見切り発車の状況が見て取れます。
戦車のこの構造を見るに、後退はできません。自分の中の恐れと向き合い前進する…進むべきである…そういったことを伝えようとしていると思えます。このカードが出たときは、自分の心の準備が出来ていないこと、出来ていなくても進まなければならない局面であるということだと考えてよいでしょう。

力 STRENGTH

女性が獅子を手懐けています。
腕力でしつけるのではなく、締めるときは締め、緩めるときは緩めるしなやかさで制御するのです。何かをコントロールしようとするときには一度緩める、余力や余白を残すことの必要性は日常でどなたも感じたことがあるのではないでしょうか?
獅子が表すのは動物的な本能で、誰もが秘めた激しさを理性で把握し、操縦しなければならないのですが、しかしそれは抑圧によってなされてはならないのです。力任せの無理はしてはいけない…コントロールできないことは一旦手放す…気がかりで放っておけないことほど、その意識が大切です。このカードが出たら、自分が何かを想い通りに動かそうとしていないか…を振り返ってみましょう。

隠者 THE HERMIT

積み重ねられた経験からふとした気付きを得て、大きな悟りにたどり着いた、そのような心境を示しています。
深みを覗いていてももはや動じずその心は穏やかです。穏やかだから深淵を覗くことが出来るという方が近いかもしれません。
荒涼とした雪の上に細い杖と小さなランタンだけで立っていますが、彼を脅かすものはもはや何もないのです。私たちから見て隠者が左側を向いていること…このことにも意味があります。
カードを扱う方にはよくご存じのことかもしれませんが、左側が過去で、右側が未来です。
過去に得たものを智恵とし、洞察力に変える…その力があることを表しています。そしてすべてを知ったつもりになってしまう、または知りすぎて頑なになる…ことのないように…ということも伝えています。

運命の輪 WHEEL of FORTUNE

回り回る運命は、こちらの都合などお構いなしに回るのです。
良かった人は悪くなり、悪かった人は良くなるので…。
ただそれもよいか悪いかの最終的な決定はあなたがするもの。

ずっと良いことばかりでも、ずっと悪いことばかりでもなく、
変わって欲しいときに変わるとも限らず、変わって欲しくない。ときにも変わってしまうかもしれませんが、その結果に対しては自分が主導権を握っていることを忘れないでください。

ピンチはチャンスかもしれないし、チャンスはピンチかもしれない…。
人が抗えない力で回る、それが運命の輪なのです。

このカードが出たら、力を抜いて、飛び立つときを逃さず測る、あるいは留まるのかを決めるときなのです。

正義 JUSTICE

どんな事柄であれ、真っ当で妥当な判断が下されます。
希望や都合を差し挟む余地はなく、なるべくしてなるという状況です
これが悪く出ると正当さを欠く不遇な状態に置かれたり、合理性が過ぎて情状酌量など一切なくバッサリ、といった状況となってしまいます。
この人物の持つソードは感情を排した思考と規則。ルールに則った判断であることの証左。
しかしそれが、逆に疑心暗鬼を生むという皮肉な結果をもたらすこともありえます。
このカードが出たときは、感情との向き合い方が特に大切になります。

吊るされた男 THE HANGED MAN

こんな具合でいながら、男の顔は苦痛そうではありません。
頭には後光が差し何かひらめきを得たことを示しています。
吊るされた木には青々と葉が繁り、忍耐や試練が後に報われることを表しています
ただそのために、吊るされて何も出来ない、と考えるのか、この状況だから出来ることがあると考えるのか、で全く立場が変わってきます。
一度無の境地になり我欲や自己主張を捨て、固定観念を取り払った先に、世のため人のために生きる新しい境地が待っていることでしょう。このカードが出たときは自利利他と自己犠牲の違いや、尽くすということがどう現状に当てはまるのか考えてみてください。

死神 DEATH

死は誰にも平等に訪れます。
望むと望まざるに関わらず、待って欲しいと言っても待ってはくれません。
変わるべき時、捨てるべき時が来たのです。
最初は辛いかもしれませんか、カードの奥を見てください。
遠くに朝陽が射すのが見えています、明けない夜はないのです。
ここで変われない、捨てられないでいると、昨日と同じ日々が続く…ということを伝えています。
死はそのままの意味ではないのは言うまでもありませんが、これまでとこれからがガラッと変わること、それに伴う動揺や苦しみを受け入れる覚悟…が必要です。

節制 TEMPERANCE

赤い羽根の天使が器から器に水を移し替えています。
赤は情熱、水を溢さぬようにするには、その情熱をコントロールしなければなりません。
足は片方水につけ、もう片方は地面にあり、感情と現実の間に自己を置き、ちょっとバランスを崩したら器の水は溢れてしまいそうです。
頭に射す後光は智恵を表し、その力でもって節度と自制心を保っていることを示しています。
揺るがぬマイペースが悪くすると自分勝手、融通がきかない、厳しすぎ、などになることもあります。わりとわかりやすい象意かとは思いますが、このカードの向こうに見える太陽が昇るところなのか沈むところなのかはっきりしないところはどう見ますでしょうか。

悪魔 THE DEVIL 

裸の男女が悪魔の前で鎖に繋がれています。
しかし首の鎖はゆるく、繋がれていることに苦痛がなさそうです。
つまり…快楽に耽り自堕落な姿を意味しています。
悪魔の松明は足下を照らしています。
既に尻尾は生えてしまっていますが、足には何の拘束もなく、自力で逃げて良いのだよと教えているようです。
人の姿をしているうちにそれに気付き鎖を断ち切りそこから去るのか、ずっとそこに居たいからいるのかは彼らにもわからないのかもしれません。このカードが出たら、ともかく「自覚」が大切ということを教えているということでしょう。

塔 THE TOWER

「怖いカード」の1位2位を争うこの「塔」は見た目にもインパクトがあります。
その通りインパクトという言葉がふさわしいかもしれません。
天まで届かんとした塔は神の雷により一撃で崩壊します。
しかし破壊は再生の前段階。
ただ意味もなく壊れるわけではありません。
一時は衝撃を受け混乱するかもしれませんが、しっかり受け止め再起を目指すのです。
そうでない場合、被害が小さくすむとも取れますが、中途半端な破壊は混迷が長引くともいえます。このカードが出たときは心構えと覚悟が必要です。良い変化にするも悪い変化にするのもその後の対応次第…ただの「怖いカード」ではないし、そうならないために出来ることがあります、というメッセージです。

星 THE STAR

水瓶の水を地面と湖に注いでいます。
女性はありのままの姿をしていて、木には鳥がいます。
いずれ鳥が羽ばたく時、それが合図です。
見えてはいるけどつかめぬ星のように、希望はあるけれど実体はない、未知数
心に温めてきたものを形にする時が訪れています。
昔の人が夜空の星を目当てにしたように、啓示を頼りに進むのですが
それが現実味がなくただの夢とならぬよう、星を掴みに行くのではなく
星の光を目印にして確実に歩くのです。
星は暗闇でこそよく見えるように、心に射した一筋の希望を意味することもあります。

月 THE MOON

犬のような動物が月に向かって吠えています。夜の獣の鳴き声を想像してください…不安を掻き立てられませんか。
月はいつも地球に同じ面を向けています。見えない部分があるのです。
知らないことには恐怖を感じるのが生き物の弱さであり、蠍が這い出た水面はざわつく心を表しています。
見えない部分に何があるのか、知ろうとする心が不安を呼びます。
月の裏側を見るのが不可能なように、すべてを知ろうとするのは無理と心得れば、他力ではない自力での平安を得ることができるのです。このカードを見たら、知らないままでいることも必要である、ということを伝えているのでしょう。

太陽 THE SUN

裸の子供が白馬の上でのびのびと両手を広げて乗っています。
幼さはありますが健康的なエネルギーに満ち、何の後ろめたさも怖れもありません。
すべてを照らす太陽は、自分の中の見たくないものも照らします。
いわゆるお天道様です。
太陽の光が心地よいのか暑苦しく眩しすぎるのかは受ける側の状態、状況しだいです。
このカードが出たときは、どこにも間違いがないように、ツッコミどころがないようにしておきましょう、という別のメッセージもあると思っておきましょう。

審判 JUDGEMENT

天使のラッパで目覚めた死者が復活の時を迎えています。
長い忍耐の時は過ぎ、祝福を受け再生、復活を遂げるのです。
しかし世界の終わりのあとに、全ての死者が生前の行いの審判を受けるというイメージからは、
単なる許しではなくあることの結果が出る、結末を迎えるということは避けられないでしょう。
天使は人知を超えた力を意味し、必ずしも人の意思や希望に沿った結果ではないけれど、それを受け入れることで次に進む…受け入れないことにはそこで終わり、ということです。
大アルカナの中でも重要な意味を持つカードでしょう。

世界 THE WORLD

0-20の愚者の旅はここで一旦終わりを迎えます。
あらゆる苦悩、喜び、葛藤を乗り越え、ひとつの完成を見るのです。
切れ目のない月桂樹の輪は完成、完璧、調和を意味しますが、永遠、また終わりは始まりにつながり、新たな地点、転換期ともいえるでしょう。
しかし悪くすると、抜けられない円環の中をぐるぐると回り続ける、完成できない、あるいは、小さな円の中でまとまってしまう、環の中に入れない…といった意味にもなります。
しかしこの「世界」のカードで大アルカナの22枚が終わることは、易の64卦で水火既済ではなく、火水未済で締めくくることと通じるのか対照的なのか?などと答えの出ない空想を呼んで、私は結構好きですね。

タロットカードの意味に由来はあるのか

以上、ある一定の共通の解釈に基づいた話と、自身の考えるものを少しずつですが書いていますが、もともとが正解のないものです。

見た人の思いにまかされている自由な世界だと思います。
だからこそ何とでもいえる、とも言えるわけですが、占い自体が「当たる・当たらない」という対立したものでもありませんので、読む人の感じたままでいいと考えます。

四柱推命などの命占は、その枠組みのなかで一応の理論が成り立っているので、少し話も変わってきます。これについてはまた機会を改めて記すことにします。

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